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【遥か地平線の彼方へ】第一章(6)

第一章(6)

「遅い! 重心はすぐに戻す! ほら、ファント!」
 ――キン!
「腰を引くな! 身体で当たれ!」
「く……」
 ミハエルは左足で踏ん張る。
 ――決まれ!
「はっ!」
 彼の右手は身体と共に、一躍前に飛び出す。
「……うーん、まだまだね、ミハエル」
 そのとき、ミハエルの剣先は地を向き、逆にローゼのそれはミハエルの胸元を指していた。

「ああ、ダメだったなぁ……今日こそ姉さんに勝てると思ったんですが」
「甘いわね。伊達にあたしも成長してないわよ」
 フルーレを横に置き、彼女は汗を拭っていた。
「それにしても久々ね、ミハエルから稽古に誘ってきたのは。これもその大和の少佐に触発されて?」
「そうかもしれません」
「一発でミハエルの素質を見抜いたわけね……なかなか鋭いわ」
 うんうん、と顎に手を当ててしきりに感心するローゼ。
「一度他流試合でも申し込みたい相手ね。……その西之上少佐は」
「国際問題だけは起こさないようにしてください」
 ミハエルは、事が大きくなる前に釘をさす。とにかく彼女はきつめに言わないと、なにせ前科が多すぎるのだ。
「ま、ほどほどにするわさ」
「……絶対やりますね、姉さん」
「にゃんのこと?」
 妙にニヤニヤしたまま、手をひらひらさせるローゼだった。
 ――と。
「先パーイ! ミハエル先パーイ!」
「ん? この声は……」
 校門の方から聞こえる透き通った声は次第に近づいてくる。その様子に、この姉弟は顔を合わせた。
「先パイ、やっぱりここに……って、ローゼ先パ……」
 ガバ。
「むー、むー」
「ああ……久々の女の子の感触ぅ」
「……予想通りの展開過ぎる」
 そういいつつも、ミハエルは少し嬉しそうに、ローゼに抱きすくめられた少女を眺めた。
「ばっ……はぁ……はぁ……ミハエル先パイ、見てないで助けてください!」
「いや、まぁ、さすがに俺も命は大事だし」
「は!?」
 豊満な胸に抱きすくめられるシチュエーションには些か来るものがあるとはいえ、その危険性も充分に理解しているミハエルとしては、一応の抵抗をしておく。
「ちょっとぉ、人を猛獣か何かと同一視するのは失礼ね」
 と、ローゼは何かを思いつく。
「あー、もしかして、あたしの胸、直接触りたいとか!? もう、ミハエルのエッチ」
「何でそうなるんですか……仮にも一国の王女の自覚を……」
「ネネちゃんみたいなこと言わない」
「当たり前のことです」
「うにゃ……酷いにゃ」
 その様を見て、ローゼの胸元から顔を出した少女がジト目で睨む。
「もう、ローゼ先パイのほうがいつも酷いっすよ……」
「かぁいいのが悪い!」
「よく言いますよ。ローゼ先パイだってすっごく綺麗じゃないっすか。自分もローゼ先パイみたくスタイルよくなりたいっすよ」
「いや、逆に考えるんだ。胸がない方が需要に対する供給が少ないと考えるんだ」
「……セクハラっすよ、ミハエル先パイ」
「はは、悪い悪い」
 不満あり気なローゼから解放された少女の頭を、今度はミハエルがくしゃくしゃにかく。
「ちょ、先パイぃ。その癖どうにかならないんすか!?」
「いや、つい、な」
「はぁ……」
 よろよろと立ち直した少女は、改めて敬礼する。
「ブリュンヒルト・ファン=ベートホーフェン予科生徒、ただいま戻りました」
「……おかえり、ヒルデ」
「ま、無事で何よりね」
 数ヶ月ぶりの妹分との対面で、姉弟はすっかり笑顔になる。
「さて、今日はしっかりと土産話を聞かせてもらうとするか」
「あ、自分も先パイたちの数ヶ月、お聞きしたいっす」
「そいつは都合がいいな。ヒルデにも紹介したい人いるし」
「じゃ、あたしはヒルデちゃんを抱き枕に今日は……」
「却下。ヒルデはひとりしかいないですよ」
 さすがにいろいろと倫理的な問題が発生しそうだったので、ミハエルは即答するほかなかった。
「せ、先パーイ……自分、ばらばらにされるっすか……?」
「いや、それはない、ないから」
 涙目になりながらすがり付いてくるヒルデに、ミハエルは苦笑した。




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アニメMyself;Yourself見始めました

とある友人のご好意により、アニメのMyself;Yourselfを視聴中…現在第4話。

まず一言。
……友達の家普通に作中背景にあるんですがwww
というか、出てくる場所によっては「○○くん家からこれくらいのところだなぁ」っていうのがわかるという……

つーかお祖父ちゃんの家の近所wwww

あの田園風景はどう見ても近所www

下手したら自分の家が映るんじゃないかというくらい近所wwwwww

→のっけの電車の時点で吹いたwどう見ても紀勢本線www
  +バス停wwwwどうみてもすさみ交通wwww

全話見終わったら、また聖地在住動画の補完したものでも考えようかな……。
(ちなみに、紀伊日置駅もゲーム本編に登場するようです)




というか、我らが兄弟はピアノやってたのか……。
で、しばらく弾いてないと。


……ちょwただでさえ地元ネタあるのに、さらに親近感がwwwww





第4話wwwwwww
なんと言う串本海中公園アドベンチャーワールドを足して2で割ったような水族館wwwwwwww


ダメだwwww本編でも笑えるのにwwwwwwww背景でいちいち吹くwwwwwwwwwwwwwww




第6話
おい兄弟wwwwwwwwwwww
小学生の前でエロゲすんなwwwwwwwwwwwwwwww


というか、代入するだけの問題がなぜ解けない?wwwwww
高2なんでしょとかいうレベルじゃNEEEEEEEEEEEE



第9話

おかしい……
おかしいな……

今まで笑いどころのメイン=地元ネタだったはずが……
地元ネタに慣れてきたのか、本編がメインで面白く……

というか、若本自重しろwwwwwwwww


第10話・第11話
何この超展開


最終話
ちょw3時wwwww
やばいwww明日の学校大丈夫かなwwwwwwwww

まぁ、なんというか、
10年後ってwwww

それはともかくとして、これはなかなかの良作。
地元ネタで見ていたはずが、気付けば全話一気に見通すレベルでした。そういう「ネタ」的な面白さではなく、一般的な意味でおもしろい作品でしたね。

でもまぁ、なんというか、友人の家が火事にあったというのは、私も経験したことがあるのでなんともいえない気持ちになりましたが……



ともかく、いい作品だったと思います。

【遥か地平線の彼方へ】第一章(5)

第一章(5)

「っ……」
「痛むか、ランツ?」
 頭に濡らした布を当て、ランツは木陰でミハエルに手当てを受けていた。
「手加減してやればよかったんだけど……」
「いえ……むしろ私なんかのために本気でやっていただいて嬉しいくらいです」
 ――もともと思いっきり手加減してたんだけどな。
 真摯な瞳で見つめ返してくるあまりの純朴さに、ミハエルは返って後ろめたくなる。木剣とはいえ、頭を打たれればやはりコブくらいはできる。実際、思いっきり振り下ろすような奴はいないので、酷い怪我にいたることはないのだが。
「すまない、校長室はどこかな?」
 スッと木陰に繋がるように影が出来、晴天に映える白い服装が眼に入った。
「あの……どちら様でしょうか?」
 歳は二十代後半。純白の軍服に黄金の肩章。身長はミハエルより十センチほど低い黄色い顔をした男がそこに立っていた。
「これは申し送れたな」
 男は腕を張らない海軍式の敬礼をする。
「オレは大和皇国海軍少佐、西之上翔ってモンだ。駐プルーセン大使館付武官で、校長に着任の挨拶に出向いたってわけだな」
「はぁ」
「まぁ、本来陸軍の知り合いも来る算段だったんだが……ちっと本国の手続きで手間取っててな。それで拝命仕ったのさ」
「理由は諒解いたしました。校長室はこちらであります。……ランツ、ちょっと待っててくれ」
「わかりました」
 俺はランツをその場に残し、西之上少佐を案内することになった。
 晴天が季節の寒さを幾分か和らげる渡り廊下を、二つの足音が並んで歩く。
「うーん……君、曹長だね。本部の」
「あ……はい。士官学校生徒であります。本科一年です」
「すると、あの子はランツ・フォン=ケストナーくんかい?」
「そうであります、少佐殿」
「『殿』はいいって。オレ海軍だし」
「わかりました、少佐」
 そうして、西之上少佐とミハエルは世間話を続けながら校長室への廊下を歩いた。
「つとに聞くが、君はなかなか剣の腕も立ちそうだね」
「え!」
 西之上少佐は唐突に尋ねた。
「え……はい、腕が立つかどうかはわかりませんが、クラスではトップであります。ですが少佐、どこでそれを?」
「いや、君の歩き方とか、手でね。オレも剣は多少やるから」
「そうですか。……あ、つきましたよ少佐」
「ダンケ、……っと、君の名前は?」
「自分ですか? 自分は、ミハエル・シュレーディンガーです」
「ミハエルね……わかった。もし今度機会があれば、君の腕を見せてほしいもんだな」
 そういうと西之上少佐は、ミハエルに敬礼をすると校長室の扉をノックした。




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第一章 (1) (2) (3) (4)

サラ中尉のロシア語講座第2回「文字と発音」



サムネは仕様です。



もとい、これで発音編は終了。文法編に入るかは未定。まぁ、当分無理でしょうけど(汗



細かいミス多いって指摘あったので、見直してみたのですが……
参考書と見比べたりしたのですが、どこにミスがあるのかわからなくて涙目に(汗
参考書が1958年発行だからなんでしょうか……

【遥か地平線の彼方へ】第一章(4)

第一章(4)

 ランツ・フリードリヒ・エドゥアルト・フォン=ケストナー。その少年はそう名乗った。彼の父は、今から十数年前、エッカルト大公国との同君連合ニーダーオイレンブルク公国の小さな農村に訪れた悲劇、そして救出の立役者となった。第三擲弾騎兵連隊長、『ノースロイゼの槍』ことヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン=ケストナー騎兵大佐は、今や中将に昇進し、第三軍管区下騎兵第二旅団長に補されていた。彼は指揮官として一流で、かつ軍事理論家としても有名であったが、彼の著作には必ず連名でもうひとりの名前が記されている。
 その名こそ、齢わずか十二の息子、ランツであった。
 あの一件以来、ミハエルはフォン=ケストナー将軍と何度か会っているが、その息子とは面識がなかった。後にローゼから聞いた話によれば、ランツはすでにアビトゥーアをパスできる学力と知識を備え、砲兵運用理論においては欧州の第一人者であるらしい。
 そんなランツであれば、わずか十二歳にして国内最難関のひとつである士官学校の入試をパスできるのは、ある種当然のことであった。彼の名声はすでに鳴り響いており、誰も親のコネだとは思わなかったのだ。
 ランツが入学し、マリオン陸軍士官学校の新学期が始まったのは九月であったが、四ヶ月過ぎた学校は、随分落ち着きを取り戻しつつあった。
「そこで、転進。しかる後にこうして……」
 その日もミハエルは、机に並べられた部隊を動かしていた。
「なるほどね。そうすればまともに戦えるな」
「だろ?」
 棋上演習で同じ班になったカルル・フォン=オイレンブルクも腕を組んで頷いた。
「ランツはどう思う?」
「…………」
 いつも最終確認はランツが行うことに、このクラスではなっていた。ランツはしばらく親指の爪を噛みながら黙り、それから一気に話しはじめる。
「そうですね……挟撃するのはわかりますが、敵騎兵隊の目的を挫くことを第一目的とすべきでしょう」
「敵騎兵の目的?」
「はい。この場合、偵察です。……ですが、威力偵察ではなく、騎兵のみですから……相手もこちらの状況、規模を把握していないということです」
 ランツは指でもう一度敵騎兵のルートをなぞる。
「彼我の戦力比はご存知の通りで、こちらのみが情報を知っている。これを敵に悟らせるのはまずいです。よって……このように、極力接近で戦います。幸い森がが背になっており、秘匿するには十分でしょう」
 その後も、考えられる不測の事態ごとに、ランツが回答をつけていく。
「終わったーっ!」
 大きく伸びをするのは、同じ班のカルルである。
「さすがは首席だな」
 他の生徒もランツを褒め称える。
 事実ランツは入学後行われた試験で、周囲の予想通りトップに躍り出た。謙虚な性格も相まって、現在では一部の頑固者を除いて頼られる存在になっていた。
 ダン!
 今まで隣の机で別の班の報告書を書いていた少年が立ち上がる。
「付き合ってられるか!」
 そう吐くと、その少年は足早に教室を後にする。
「あ……ヴィンツェンツ!」
 隣に座っていた別の少年が呼び止めるが、無視して扉からも見えなくなった。
「……ごめん、フォン=ケストナーくん。……ヴィンツェンツも、悪気はないと思うんだ」
「構いません。どうか、お気になさらずに。フォン=ゲッツさん」
 フォン=ゲッツと呼ばれた少年は、ランツに頭を下げるとヴィンツェンツと呼ばれた少年の後を追っていった。
「まぁ、気にするな、ランツ。いつものことだ」
「あいつも、そんなに悔しいのかねぇ、首席奪われたからって」
 ミハエルとカルルは、表情が少し暗くなったランツの肩に手を載せる。
「何か聞いてないのか、カルル?」
「何が?」
「いや、貴族のしがらみとか、そういうの。あいつ、名門ブラウアー伯爵家だろ? 俺は平民だからわからないし」
「そうは言っても、俺はしがない男爵家の次男坊だぜ? むしろ姫様の方が知っていると思うけど?」
「……いや、姉さんの性格じゃ……ね」
「やっぱりなぁ……」
 本人の頭越しに、ミハエルとカルルは会話を続ける。
「ハワードも、苦労してるな」
「ゲッツ家って、ヴィンツェンツの執事の家柄……とかじゃなかったよな」
「そういう話は聞かないぜ? 確か誰かが『家はマリオンにある』って言ってたけど」
「あの!」
 突然間から上がった声に、二人は下を向いた。
「もう、次の授業ですよ……?」
 ランツからの指摘に、二人はあわてて練兵場に走るのだった。




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第一章 (1) (2) (3)

ローゼ姉さんのドイツ語講座第21回「再帰表現」



「自分自身を」という意味にして他動詞を自動詞化する代名詞の登場です。
まぁ、やっぱり地元ネタは入れたくなr(ry

【遥か地平線の彼方へ】第一章(3)

第一章(3)

「何を仰います? ここは私の部屋でもあるのですよ。ミハエル・シュレーディンガー生徒?」
「へ?」
 まったく当てが外れ、思考停止に襲われる。そんなときだった。
「やっほー、ミハエル、元気してたかにゃ?」
 さようなら、静かな昼下がり。
 嵐よろしく、竜巻よろしく、黒髪をなびかせて颯爽と登場する女性の出現……それを危惧していたミハエルは頭を抱えた。
「姉さん! 部屋に入る時はノックしてくださいと何度……というか、その奇怪な語尾は何ですか」
「いやぁ、新たな可能性を見出そうと……」
「何のです?」
「あたしの魅力の可能性」
「……誰か、お医者様はいませんかー」
「まぁ、そう言うでないにゃ。あたしとミハエルの仲なんだからさ」
「そういう誤解を与えるようなことは控えてください!」
 ミハエルは突然現れた災厄の根源に、声を荒げる。
「あ、あの、こちらの方は……?」
 と、ひとり置いてけぼりを食らった少年は恐る恐る声を上げるが……
「きゃー! 何この子!? 可愛いっ!」
「ひぎゃ」
 暴風に巻き込まれるのは自明であった。
「ああ、抱き心地も最高っ……」
「あの、姉さん……?」
「ミハエルはちょっと待ってて! ああ、お肌もぷにぷにしてるぅ」
「おーい、姉さーん、もしもーし?」
「何よ、今いいところなんだから」
 ミハエルは手を左右にぶんぶん振りながら、頭も振る。
「そういう問題ではないでしょう。……その、窒息しますよ?」
「あ」
「うみゅ~」
 何か形容しがたい鳴き声を上げて、今まで宙に浮いていた少年は倒れこんだ。
「あ、はははは」
「バツを悪くしても無駄ですよ。折角今起きたっていうのに」
「あら、あたしとしたことが」
「開き直らない」
 もはや後の祭りであるが、黒髪の女性はオホホと上品に笑って見せた。他方少年は首を少し振り、意識を回復させながら、ずれた眼鏡を元の位置に戻す。
「ごめんね、ボク? 可愛かったから、つい」
「いえ、少し苦しかったくらいですので……」
「じゃあ、もう一回……」
「姉さん!」
「冗談よ、冗談」
 へらへらと手を振り、その女性は視線を外す。
「で、どうしたの、この子」
 それを今聞こうとしてたんだと、女性と少年の間に割り込んだミハエルだったが、少年の方が女性に対して膝を屈して最敬礼を行っているのに気付く。
「お初にお目にかかります、エッカルト大公女ローゼ殿下。お噂はかねがねお聞きしておりました」
「うーん、知ってたのね」
「シュレーディンガー生徒の義姉殿となれば、自ずと」
 ローゼ殿下と呼ばれたその女性は、抱きついたことをとがめられたときよりもバツが悪そうに頬をかいた。
「クリスト自由公の宝石。欧州一の才媛。絶世の美女……社交界では有名な話です」
「猫かぶりの効の……痛たたた! 姉さん、足踏まないで!」
 一七〇センチを超えた長身からの踏み込みに、ミハエルはベッドの上で泣く羽目になる。
「まぁ、ここは軍だからね。そういう出自を気にしないこと。いいわね?」
「了解しました」
「じゃあ、今度は君の名前聞かせてくれる? あ、あと座っていいわよ」
 義弟の部屋であるというのに、この姉はすっかり主となって場を仕切っていた。
「はい。私はケストナー男爵中将が嫡子、ランツ・フリードリヒ・エドゥアルトです。どうかよろしくお願いします」
 丁寧に頭を下げたランツに、今度はミハエルが驚愕することになるのだが、それはまた別の話。




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第一章 (1) (2)

【遥か地平線の彼方へ】第一章(2)

第一章(2)

「おーい、君、大丈夫か?」
「……ん」
「よかった、気がついたな」
 ミハエルは先ほど不注意で吹っ飛ばしてしまった子供を、自分のベッドに寝かせていた。もしこれで起きなかった場合、学校駐在の軍医に診せようとしていたところだったが。
「あれ? ここは……?」
 幼い声の主は、頭を押さえながら問うた。
「士官学校寮だ。……はい、眼鏡」
「あ、ありがとうございます」
 両手で眼鏡を受け取った子供は、ベッドから起き上がろうとする。
「あ、そうでした! 荷物を運んでいたら、急に目の前が真っ暗になって……」
「……それ以上は何も言うな」
「?」
「ところで、君、この荷物は何なんだ?」
 身の丈よりも大きな、そして随分重い荷物を指して、ミハエルは尋ねた。
「すみません……運ぼうと頑張ったのですが……」
「まぁ、この量だしな」
 物理的に無理だろうと、ミハエルは鞄を叩いた。
「どこに運ぶんだ? 難だったら手伝おうか?」
「よろしいのですか!?」
「ああ。どうせ暇だし」
「ありがとうございます! お優しい方ですね」
 いや、そんな感謝されてもと、さっき吹っ飛ばした手前言いにくかったミハエルであった。
「じゃあ、どの部屋に運ぶんだい?」
「少々お待ちを」
 ベッドから抜け出し、その子供は部屋の扉の向こう側を見にいく。
「あ、こちらで構いません」
「へ?」
「よかったです。これでご足労かけずに済みそうです」
「え? ちょ、ええ!?」
 待て待て、ものすごく引っかかる、とミハエルは額に手を当てる。
「えっと……君、部屋間違えてないかい?」
「そんなことはありません」
「でも、この部屋は俺だけだったはず……でも俺はもう荷物運んでるし……」
 てっきりこの子供が他の生徒の家族で、足りない荷物でも運んできたのだと思っていたミハエルであったが、どうやらそういうわけではないらしい。
「姉さんか? それともお義父様? ……いや、実は執事の……」
 ひとまず、大荷物を連絡なしに運び込ませる人物をリストアップしていくミハエル。
「何を仰います? ここは私の部屋でもあるのですよ。ミハエル・シュレーディンガー生徒?」




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第一章 (1)

【遥か地平線の彼方へ】第一章(1)

第一章 (1)

 プルーセン王国とは、欧州中央部――ロルカ――に位置する君主国である。元は神聖ロマーナ帝国辺境の一小国であったが、大王フリードリヒ二世を筆頭とする名君に恵まれたことにより、一八六七年に至っては列強の中に名を連ねていた。
 特に、数年の内に起こった二つの戦争での勝利は、プルーセンの中欧における優位性を内外に示すものであった。ひとつは北方のテルン王国との西ロルカ戦争。もうひとつはロルカ地方の覇権を争った、神聖ロマーナ帝国の後継マイエンタル帝国との譜苑戦争である。
 その軍国プルーセンの根幹をなす、士官教育の場、マリオン王立陸軍士官学校。構内に併設された寮の一室で、今年で十七になる少年、ミハエル・シュレーディンガーは何度も制服のボタンを調整していた。
「これで……よし」
 ミハエルは鏡に映された肩章、そして袖章を眺めて唇の端が上がる。
 予科士官学校に入学してから苦節五年。ようやく本科の制服の着用を許されたのだ。感動もひとしおである。
 彼は夢想した。サーベルを握り締め、多数の騎兵を従えて敵前線に向かう自分の姿を。いつの日か見上げ憧れた、西ロルカおよび譜苑戦争の英雄、『ノースロイゼの槍』ことフォン=ケストナー将軍のように。
 ――と。
「んしょ……んしょ……」
「何だ?」
 鏡に向かって悦に入っていたミハエルであったが、廊下で聞こえる何かを引きずる音に気付く程度には耳が良かったらしい。
 ガタン!
 部屋の扉の前で、明らかに不穏な音がした。さすがにここまで来ると、不干渉を標榜できなくなる。ミハエルは扉に近づき、ゆっくりそれを押してみる。
「開かない、か」
 今度は強く。
「……無理か」
 彼は一歩後ろへ身を引く。そして、
「……せえのっ!」
 バタン!
「みぎゃ!」
 ……何か、今聞こえたような?
 そう思った彼が恐る恐る下を見ると、そこには大きなトランクと10歳くらいの小さな子供が、すっかり目を回して伸びていたのだった。



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【遥か地平線の彼方へ】プロローグ

『遥か地平線の彼方へ』
作 久間知毅

注意:この作品は、元々ゲームの脚本として書かれたものを、半ば無理やり小説化したものなので、かなり台詞が多いです。
……という事情を考慮してお読みください。



プロローグ

 レーダー・シュレーディンガーは舌打ちした。同時に、何度も自問した。
 ――確かに白旗を持たせたか? 陸戦協定に違反したことはなかったか?
「レーダーさん! テルンの奴らが砲撃を再開してきました!」
 彼の傍には、たった今使者に送って帰らぬ人となった男の妻が泣き崩れている。
「覚悟を……決めるほかないか」
 誰に聞こえるでもなく呟いたかと思うと、今度は周囲に聞こえるように彼は声を張り上げる。
「みんな、子供たちを出来るだけ分散させて隠すんだ。動ける大人は……できれば銃を、なければ農具を持ってここへ集合してくれ。……解散!」
 村のあちこちに砲撃による叫喚がこだまする。
 レーダーは泣き崩れる女性の手を持ち呆然と立つ少女と、我が子を納屋に連れて行った。
「いいか、ミハエル。絶対に声を上げるんじゃないぞ」
「……うん」
「サラのこと……頼んだ」
「うん!」
「いい子だ。それでこそ男の子だ」
 そう言って少年の頭をくしゃくしゃと撫でた彼は、腰の拳銃を数回触り、呟いた。
「主よ、どうか彼らをお守りください」
 納屋の扉が閉められ、少年を闇が襲う。
「……ねぇ、ミハエル」
「…………」
「お父さんは? お父さんはどうしたの?」
「黙ってて」
「お母さん、泣いてた……行かなくちゃ」
「サラ、静かに」
「うう……」
 少年は少女を抱きしめ、嵐が過ぎるのをただ待つ。彼には聞こえない。彼には感じない。いたるところで上がる炎、そして断末魔。
 彼は耐えた。少女の耳をひたすらに押さえて。
「きっと助かる。神様がきっとお救いくださる」
 今まで教会以外でまともに祈ったことのない歳だったが、彼なりに必死に福音を心の中で唱える。
 突然現れる暖色の光。
 ――ああ、あれは炎だ。幼い少年でもそれはわかった。その炎が近づく。ああ、これまでだ。彼の世界に音が、匂いが、視界が蘇る。
 少年は託された少女をより強く抱きしめた。それ以外に彼は、少女を助ける術を持ち合わせていなかった。
「連隊長殿! 何も自ら出て行かずとも……」
「いえ、こういうときは最高責任者が出て行くものです」
 カサリ、と身近で音がする。
 少年はゆっくりと、確かめるように視線を上に持っていく。
「……もう大丈夫。僕達はプルーセン陸軍、第三擲弾騎兵連隊。僕は連隊長のヴィルヘルム・フォン=ケストナー。階級は騎兵大佐です」
「プルー……セン……?」
「クリスト殿下への救援です。間もなく、フォン=シェクト大将閣下の本隊が到着するので、それまで君たちを保護させてもらいます」
 少年の混乱を見て取ったこの細目の軍人は、頬をかいて付け加えた。
「そうですね……君たちは助かったわけです」
 このとき、はじめて少年は身体の緊張を解いた。



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【遥か地平線の彼方へ】キャラクター紹介

『遥か地平線の彼方へ』、略称「はるかな」は元々近代架空戦記AVGとして書かれたもので、サークルメンバーの仕事の都合で小説になったものです。
……という経緯のため、小説にしては台詞のやたらと多いものとなっております。

まずこちらで連載して、まとまったらサークルの方へ加筆修正込みでアップの方針でいこうと思います。
では、まずキャラクター紹介から。

ミハエル・シュレーディンガー
ミハエル
プルーセン陸軍士官候補生。本作品の主人公。

サラ・リーリエ・ド・ベルス
001_layer45.png
ブロサール国防軍中尉。主人公の幼馴染。
身 長 155cm
3サイズ 85-58-83
誕生日 9月1日

ローゼ・オイゲニー・フォン=エッカルト=コーツブルク
001_layer43.png
プルーセン陸軍士官候補生。主人公を育てているエッカルト大公コーツブルク家の長女。
身 長 176cm
3サイズ 92-61-89
誕生日 11月30日

ヘレーネ・シャルロッテ・フォン=シュタールブルク=ルヴォア
001_layer35.png
シュタールブルク王女。主人公が厄介になっているエッカルト大公国と親交があり、またローゼの破天荒な性格に振り回され続けた主人公の戦友(?)
身 長 157cm
3サイズ 82-57-79
誕生日 7月24日

ランツ・フリードリヒ・エドゥアルト・フォン=ケストナー
001_layer58.png
プルーセン陸軍士官候補生。わずか12歳で士官学校に入学してきた天才戦略家。
身 長 141cm
誕生日 12月31日

ブリュンヒルト・ファン=ベートホーフェン
ヒルデ
プルーセン陸軍予科士官学校生徒。主人公を慕う後輩。
身 長 156cm
3サイズ 77-56-80
誕生日 1月28日

相馬咲子
咲子
東北皇国大学法学部。プルーセン王国マリオン大学に留学中。
身 長 150cm
3サイズ 73-56-78
誕生日 3月12日

ヴィンツェンツ・コルネリウス・フォン=ブラウアー
ヴィンツェンツ
プルーセン陸軍士官候補生。主人公の学年の元首席。ランツと折り合いが悪い。
身 長 173cm
誕生日 4月3日

西之上平太郎翔
西之上
大和皇国海軍少佐。マリオンの大使館附武官。剣の腕がかなり立つ。
身 長 160cm
誕生日 2月23日



以上ですが、もうちょっと詳しい解説は以下の動画の最後にあります。
ただし、誤字や脱字が若干含まれるので注意してください。(コメントで突っ込まれてるのでわかると思います^^;

地元キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!



開始1秒周参見特定余裕でした(BGM的な意味で
江住の方は、祖母の家から歩いていける場所を撮影してましたし(ラムネの舞台のひとつ

く……会ってたら地元案内いくらでもしたのn(ry

+ガソリンの値段が写ったとき、「安っ!」弾幕吹いたw

替え歌☆ごっちゃに!微分積分★



とある友人に勧められ、「ごっちゃに!」を見たのですが……
……なんといいますか、ちょうど「組曲微分積分」の続きが思いついたので、早速つくってしまいました^^;

あのころはまだ複素関数に手を出してなかったので、今回はコーシーが多めです。
(ラプラスがいつもの如くでまくるのは仕様です)

歌詞はこちらです。
ごっちゃに!微分積分

それにしても、組曲微分積分をアップして、1年になろうとしてるんですね……
時間がたつのは早いものです(汗

サラ中尉のロシア語講座第1回「アルファヴィート」



今週末は一気に作りました。
とりあえず、来週はちょっと忙しいので、独仏露のどれかになりそう……

ヘレーネ嬢のフランス語講座第1回「アルファベ」



どれだけ風呂敷広げちゃうんでしょうね、私(汗

とりあえず、ドイツ語講座も終わってないので、フランス語講座は「単語の読み方」までです。
(本音を言うと「冠詞」→「êtreとavoir」→・・・とやりたいですが、やっぱりいろいろと時間が)

ローゼ姉さんのドイツ語講座第20回「分離・非分離動詞」



ローゼ姉さんのドイツ語講座、ようやく新作できました。
……これで20回目ですね。あと10回、頑張らせていただきます。

「はるかな」の今後

思ったよりも早くクラブの件が片付いたので、本日から更新開始……
したいのですが、来週までに某学会への論文のレジュメをもってこいといわれてまして……というか、発表しろとか講演しろとか^^;
まぁ、先生曰く「いい経験になる」だそうで。

なので、やはりペースはかなり落ち込むかと。

そこで、ひとつ考えたのですが……

本格的に「はるかな」の完成が絶望的になってきました

こればかりはどうも……とにかく、本年中は難しいかと^^;
……在学中に完成させたかったのですが……だからと言って、大学行くとすぐに研究に入ることが確定な工学部ですし、どうすればいいのか。

今のところの考えですが、ひとまず小説という形でサラルートを書き直して、その上で反応を見てゲーム化を検討する方向でいこうかと。
まぁ、ぶっちゃけゲームとして作ったので、つじつまが合うのか不安ですが……このままローゼを謎の人のままにするのも心苦しいので、緊急処置的に。
……ですが、コレをやるとゲーム化するとものすごい完成度を要求されるので、諸刃の剣になるかも……

……とりあえず、この方向で考えてみます。
プロフィール

久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

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