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【遥か地平線の彼方へ】第一章(25)

第一章(25)

「お、来たか」
「こんばんは、少佐」
 西之上少佐はいつもの純白の軍服でミハエルたちを待っていた。
「遅くなってしまいましたか?」
「気にするな。オレも校長に用があったからな……っと、そちらのべっぴんさんは? 軍人っぽいが?」
 ミハエルの横に立つローゼの紹介を、少佐はミハエルに頼んだ。
「あ、こちらは……」
「大和の海軍少佐殿ですね。自分はローゼ・オイゲニー・フォン=エッカルト=コーツブルクと申します。弟がお世話になりますわ」
 猫被ってるなぁ、と姉の様子にミハエルは心の中で溜息をついた。
「これはご丁寧にどうも……って、貴女はエッカルト大公女のローゼ殿下!?」
 あからさまにたじろいで、敬礼をしなおす少佐。
「これまでの非礼をお許しください。自分は大和皇国海軍侯爵少佐、西之上平太郎翔と申します」
 そう言うが早いか、少佐はミハエルの肩を掴んで引き寄せる。
「おい、聞いてないぞ? お前、大公家の人間だったのか?」
「姉さんはそうですが、オレは育預なんですよ……それに、そんなこと言う必要もないかと……」
「必要あるわっ!」
「あの……よろしくて?」
 猫被ったままのローゼが上品に言う。
「あ、申し訳ありません、殿下」
「いえ……何かの縁ですし……お互いに普段どおりの口調でよろしいと思いません?」
 と、溜息をつくローゼ。と同時に、これまで纏っていた王女らしさが消えうせる。
「いやね、この口調結構疲れるんだわ」
 あっけらかんというローゼに、少佐はしばし唖然とするも、何を思ったか噴出し、腹を抱えて笑っていた。
「……っ、くく……っはっはは!!! なるほどなるほど。それもそうだ。さすがはクリスト大公の娘さんだ」
「パパを知ってるの?」
「有名だからね、いろいろと」
 ミハエルは少佐の言う「いろいろ」の意味がわかったが、あえて突っ込まないでおく。
「で、姫様は弟君の稽古に興味が?」
「見学よ」
「なるほどね。……ミハエルもまだ姉離れが出来ないお年頃かぁ」
「まったく、手のかかる弟だわ」
「……話が違うでしょ、姉さん!」
「おほほほ」
“お嬢様モード”に戻るローゼに突っ込むミハエル。
「まぁ、気にしなさんな、ミハエル。さぁ、やろうか」
「はい」
「身体は暖めたか?」
「ここまで走ってきましたので」
「そうかい」
 ミハエルは、持ってきた練習用のサーベルを握る。少佐も木刀を構えた。
 ローゼはニヤニヤしながら少し離れたところで立っている。
「いきますよ」
「どこからでもどうぞ」
「はぁっ!」
 ミハエルは早速、少佐のみぞうちに突きを入れる。
「…………」
 少佐は無言でミハエルの切っ先を見つめる。
 キィン!
「なっ!」
 カランカラン……。
 次の瞬間、ミハエルの剣は宙を舞って、後ろに弾き飛ばされた。
「へぇ……鮮やかなものね。手首を返して巻き上げる、か」
 後ろでローゼがやたらと感心している。
 少し真剣さが見える顔で、少佐は声を張り上げた。
「単調すぎる。もっと誤魔化せ」
「は……はい!」
 ミハエルは切り下げる構えをして少佐にかわされた後、上に切り上げようとする。
 ――だが。
 ミハエルの一撃をかわした少佐は、そのまま突っ込み、ミハエルの攻撃は不発に終わり……
 ――ドン!
「がっ……」
 ミハエルは、胸に受けた衝撃で後ろに飛ばされた。
「隙を作らせるってとこまではいいんだがなぁ……それが『作られたもの』なのか『作ったもの』なのかは判断しろよ」
「はい……」
 その後、何度かかっていっても、ミハエルは少佐に剣先さえ触れることは叶わなかった。
 決まった、と思った瞬間に、剣や身体が飛ばされているのである。
(滑稽だったろうな)
 ミハエルはちらりとローゼを見る。
「…………」
 ローゼはこれまであまり見ないような真剣さで二人を見つめている。
 ――と。
「ミハエル」
 ローゼが呟いた。
「痛てて……な、何、姉さん?」
 構えを解いて少佐もローゼを見る。
「……あたしにもやらせて」
「は?」
 西之上少佐は意外な提案に目を少しだけ見開いた。
「ほう」
「どうも、うずうずしてきてね」
「何言ってるんですか……ねぇ、少佐?」
 当然否定するものと思ったミハエルは、少佐に同意を求める。
 が。
「まぁ、俺はいいよ」
 ミハエルはつい転びそうになる。
「少佐ぁ~」
「俺からすると、一人相手にするのも二人相手にするのも同じだし」
「はぁ」
「じゃ、決まりね。ミハエル、サーベル貸して」
「はいはい」
 ローゼはミハエルがさっきまで握っていた剣を握ると、少佐に相対した。
「ミハエルみたいに手加減はいらないわ」
「うーん……じゃあ、いっちょやるか」
 余裕のある表情の少佐だったが、次の瞬間その表情は凍りついた。
「…………」
 ――キン!
 いきなりだった。
 ローゼは飛び込み、少佐の木刀の柄に切っ先が擦れる。
「お」
「…………」
 その直後、少佐が弾いたのを見るや否や、ローゼは突きを入れる。
「くっ……」
 辛うじて木刀を立てて太刀筋を外した少佐は、跳躍して後ろに飛びのいた。
「おいおい、こんなんだとは聞いてねぇぞ」
「……だから、手加減はいらないといったわけ」
「……なるほどね。女だてらにすごい人だ」
 今度は少佐がローゼに打ちかかる。
「っと!」
 ローゼはサイドステップで避ける。
 だが、その直後、少佐は木刀を振り向き様に打ち下ろした。
「っ!」
 ローゼは後ろに下がる。
 少佐の剣先は地面に直撃する。
 すぐさまローゼは剣を振り上げた。
 だが、少佐はそのまま木刀を前に押し出し、手首を返して左足を引きながら身体を上げて……
「っぅ……」
 ローゼの息が漏れる。
 少佐の木刀の先は、ローゼの肘に直撃していた。
 一時的に痙攣を起こしたローゼの左腕からサーベルが離れる。
 ――キィン!
 怯んだと見た少佐は、ローゼの剣の右手近くを弾き、剣は弾き飛ばされる。
「……これまで、だな」
「あ……あ……」
 ローゼは今の状況が上手く処理できず、声もあげられないようだった。
「姫、左腕は無事だ。きちんと加減はしたから」
「あ、……確かに……痛くない」
 ローゼは手を握ったり開いたりしている。どうやら、当たる直前に痙攣する程度に力を抜いたようだった。
「すごかった」
 ミハエルはただそれだけしか言えなかった。
 何より、自分の姉が手も足も出ない人ははじめて見たのだ。
 それと、ローゼの本気も久々である。
 普段ミハエルに稽古つけてくれるローゼは、こんなに本気を出さない。むしろ、ミハエルの実力がまだまだだから、本気を出せないと言ったほうが正しいくらいである。
「大丈夫か?」
「あ……ええ……」
「おし! じゃあミハエル、素振りだ素振り!」
 振り返った少佐は、いきなりこう叫ぶ。
「え? 素振り?」
「そうだ。やっぱり基本だ基本。姫は休んでていいが……ミハエルは充分休んだろ? ほら立てって」
「は、はい!」
 ミハエルはそれから一時間ほどひたすら素振りをさせられる羽目になった。
 くたくたになっての帰寮となったが、ミハエルがなかなか帰ってこないことに涙目になっていたランツを慰めるのに、彼はさらに疲れるのだった。






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【腹筋崩壊】ポジティヴにネガティヴなCM



毎時ランキング1位。福岡のローカルCMらしいです^^;
「機械に頼って~」のくだりで腹筋崩壊wwwwwwwwwwww






……和歌山でもローカルCMでウケそうなのないかなぁ……少し広めなら、関西電気保安協会のCMはあたりは受けそうですが……

↓関西電気保安協会のCM

※ぶっつけ本番ですよ、これ^^; +しかも中の人が生出演(え?
さらに補足で言えば、4:00あたりにコード叩いて火花散ってますが、あれはガチハプニングです^^;
反応が素なのはそのためでして。
私はこれで慣れていますが、他方関東電気保安協会は……

真面目すぐるwwwwwwwwwww
関西どんだけだよwwwww

【遥か地平線の彼方へ】第一章(24)

第一章(24)

「サラちゃんは大使館に行ってるわ」
「……そのことと、今こうして姉さんがここにいることに何の関係が?」
 放課後、夜まで自室で暇を潰していたミハエルのもとへ、例によってローゼが突撃していたところだった。
「まぁ、サラちゃんには聞かせたくない話だからねぇ」
「……今朝のことですか?」
 ランツは砲兵科の授業で今はこの部屋にいない。
「ほら、サラちゃんって頭いいでしょ」
「……そうですね。なんと言っても首席ですし」
「卒業時の成績が進路に影響するから……際どい子にとっちゃ目障りなのよ、サラちゃんの存在は」
「……僻み、ですか」
「別に留学生の成績なんて入隊時に考慮されるとは思えないんだけどねぇ……」
「それじゃ……」
「ミハエル。……人間、一度被害妄想に取り憑かれちゃったら、いくら合理的に考えておかしいことでも認めないものなのよ」
「…………」
 ミハエルは俯いた。
「まぁ、大丈夫。あたしとかブルーノあたりが見ておくから」
 ローゼはいつもの口調に戻り、胸を張って答える。
「そんなことより……ミハエルはこれから何か用事?」
「え……どうしてですか?」
「みょ~にそわそわしてたから」
 ニヤニヤしながら、手をわしゃわしゃと波打たせて近づいてくるローゼ。
「おんにゃのこかにゃ~? サラちゃんを差し置いてデートぉ?」
「違います! 西之上少佐と……」
「!?」
 ミハエルがそこまで言った瞬間、ローゼは飛びのいて露骨に焦った顔をする。
「西之上少佐って……大和の人……男の人よね……」
「あのー……」
「ミ、ミハエルって“そっち”の人だったの……?」
「“そっち”ってどっちですか! 俺は単純に少佐に剣の稽古をつけてもらうだけです!」
「あたしというものがありながらっ!」
 わざと泣いてみせるローゼ。ミハエルは、慣れた様子でスルーする。
「フォローは?」
「嘘泣きなのはわかってます」
「酷いわねぇ……まぁ、いいけどね」
 と、姉が何か変なことを思いついたことを察したミハエルは、すかさず身を引く。
「まーだ何もやってないわ」
「予防措置的な意味で」
「あたしは、ただ、保護者としてついていこうかにゃ~と」
「もう子供じゃないんだから、姉離れさせてくださいよ」
「うにゃ? ……ミハエル、こんにゃ~に、ちっちゃいのにかにゃ~?」
「……背丈の問題じゃないでしょうに」
「ま、あたしからすれば、いつまでもカーワイイ弟くんなのわさ」
「そんな胸を張って言うことですか、それ」
「にゃに? お姉ちゃんの胸が恋しいのかにゃ~?」
「……用がないならもう行きますよ。そろそろですし」
 時計を指差してミハエルは練習用のサーベルを手にする。
「……もうちょっと絡んでくれないと、お姉ちゃん寂しくて死んじゃうにゃ~」
「……それはウサギでしょうに」
「寂しくて死んじゃうぴょん?」
「……埒が明かない」
「邪魔はしないから、ね?」
 言葉ではそう言うが、いつの間にかローゼの腕はしっかりとミハエルを掴んでいる。
「……選択肢はないわけですね」
「よくわかってるじゃない」
 姉の扱いの多くは「諦め」だと達観している弟は、頬をつつかれながら西之上少佐のもとへ向かうのであった。






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【遥か地平線の彼方へ】第一章(23)

第一章(23)

 朝の騒ぎがひと段落した昼休み。ミハエル昼食をとろうと食堂までの廊下を歩いていた。
 ――と。
 カツカツカツ。
「あれ? 西之上少佐だ」
 ミハエルが渡る廊下と、中庭を挟んだ別の廊下を、西之上少佐は歩いている。
(……また、校長先生に用かな?)
「少佐!」
 ミハエルはあることを思いついて西之上少佐に声をかける。
「ん? なんだ、ミハエルか。どうしたんだ?」
「実は……」



 疲れる授業もひと段落し、ミハエルはいつもの喫茶店に足を向けた。
「…………」
 いつもの席にはあの少女がちょこんと座り、ティーカップを置いて本を読んでいる。
「こんにちは」
「…………」
 わずかに少女は会釈する。
「今日も天気いいね」
「…………」
 少女は、こくりと返事をした。
 それを確認すると、ミハエルは店員に注文をして席に着く。
「…………」
「…………」
 陽光は穏やかで、近くのマリオン大学や川向こうの王宮の建物を白く輝かせている。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 ……会話が続かないな。
「……そういや、君、何読んでるのかな?」
「…………」
 少女は一度ミハエルを見ると、今まで読んでいた本を少し上げた。
「……『経済学および課税の原理』?」
(……あ、ありがとうございました)
 ミハエルは顔を引きつらせてしまう。
「…………」
 そんな俺を気にも留めず、少女はランツの読んでいそうな本を読み続けていた。
 出てきたお茶も飲み干し、俺は席を立ち上がる。
「じゃあ、俺はそろそろ……」
「…………」
 少女は、ようやく本から眼を離し、ミハエルを見上げた。
「…………」
 ミハエルは、少しだけ少女が眼を細めたように見えた。





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【遥か地平線の彼方へ】第一章(22)

第一章(22)

「ちゃお~、まーたランツくんが首席かにゃ?」
「どうしたんですか?」
 役者は全員揃ったところだが、さすがに鈍感で知られるミハエルでもこの場の異様な雰囲気は察したようだ。
「まぁ、そうなんですが……」
 ピリピリとした、何かを睨むような空気。そして、それとは反対方向の能天気な羨望のまなざし。
 その二つを一身に受けていたのは、サラであった。
 妙に柔らかな雰囲気と、刺々しい雰囲気。中和されることなく漂う空気は、混沌と評するほかないだろうか。
「へ? な、何事なの?」
 一瞬で静まり返った場に、サラは混乱しているようだった。
「ミハエル~、あたしたちに内緒の話でもしてた?」
「そんなことは……」
「じゃあ、ブルーノ!」
 ローゼは仲の良い同級生のもとへ向かい、成績表を指差される。
「……あ。もしかしてあたし、負けちゃった?」
「わ、わたしが首席ですか……」
 サラが自分の成績を呟くと、数人の視線がギロリと刺すようなものに変わった。
「にゃはは、あたしも本気出さないとダメみたいねぇ」
「本気出してなかったんですか?」
「いや、今回は本気だった」
「……どっちですか」
「気にしちゃ大きくなれないわよ」
 と、ローゼはまたミハエルの頭を撫でる。
 ……微妙にミハエルも(主に下級生の)痛い視線が送られる。
「大きくって……。俺はこれでも平均はありますからいいですよ」
「あたしより小さいくせに~」
「……姉さんに言われても悔しくありません」
「むー」
(……全く。ほら、サラにまで笑われてるじゃないか)
 ミハエルは内心赤くなる。
「おいミハエル、先輩困らせちゃダメだろ」
 明らかにローゼ目当てなカルルが横から入る。
「いや、困ってるのは俺のほうだから」
「知るか!」
「そうそう。フォン=オイレンブルク君の言うとおりっ」
 あーあ、悪乗りさせてしまった……。ミハエルは慣れた姉の機嫌のグラフが右肩上がりなことに落胆する。
「お、俺の名前……憶えててくださったんですか!」
「弟君の仲良しさんなら当然ですわ」
「いや、そこだけ上品ぶらなくても……」
 今更、という突っ込みは心に留めておくミハエル。
「そうなんですよ! 俺、ミハエルとは大の仲良しで。なぁ?」
 馴れ馴れしくミハエルの肩に手を置き、もう片方の手をひらひらさせる級友に、ミハエルは一言、きわめて簡潔にはねつける。
「知らん」
「ひでぇ……ひでぇよミハエル~」
 あからさまにショックを受けた風のカルル。
「というわけで、ベルホルト。こいつを頼んだ」
 溜息でもつきそうなミハエルは、視界に入った友人に頬をつつき始めたカルルを押し付ける。ベルホルトは慣れた様子でカルルの腕を引っ張り廊下を引きずる。
「カルル、授業」
「げ!? ああ! もうちょっと姫様と話を……うわぁ!」
 ミハエルは、問題児を保護者に託すと、『満面の笑み』で見送ることにした。
「い、行っちゃったね」
 どこの喜劇という展開に、サラはおずおずと口を開いた。
「まぁ、いつものことだから」
「……はぁ」
 ……どうやら、今のカルルの『お陰』であらかたの人が帰ってしまったようだった。
 その場に渦巻いていた妙な雰囲気もなくなっている。
「……姉さん、まさか、わかってました?」
「……何のこと?」
 声のトーンを落としてローゼに聞くミハエルだったが、ローゼは笑顔のまま声だけを真面目にして聞き返してきた。
「なんと言うか……サラが来たときに雰囲気が……」
「このことはまた後でね」
 表情はそのままに、小声でローゼはミハエルにささやく。
「……そんなことより、ランツくんが見えにゃいんだけど?」
 口に手を当ててウィンクしながら、ローゼは再びいつもの声に戻った。
「ああ……多分、その辺で雑巾になってると……」
「はい?」
 ローゼは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐにさっきまで人だかりが出来ていたところに視線を遣った。
「……うう……酷い目に遭いました」
 野郎共に揉みくちゃにされ、よれよれになったランツが、壁にもたれかかっていた。
「か……」
 嫌な予感がしたのも束の間、事態はミハエルの想定した方向へ進んでしまう。
「可愛い!」
「みぎゅ」
 またローゼの抱きつきスイッチが発動するのを、ミハエルとサラは苦笑しながら見つめた。
「ところでミハエル、今ローゼさんと何を話してたの?」
「ああ、たいしたことじゃないよ」
「先パーイ、おはようございまーす!」
「この声は……」
 聞きなれた後輩の声に、ミハエルはどうしてか真っ先にローゼを振り向いた。
 ――が、時すでに遅かった。
「酷いっすよー、成績先に見るなん……ぎゃ!」
「ヒルデちゃん!!」
「あーあ」
 ランツの次はヒルデが毒牙にかかる。
「姉さん、姉さん! ヒルデが窒息しますよ!」
「にゃ? ……あ」
「……いい加減、学習してください」
「すまにゃい」
「あの……ローゼ……さん?」
「気にするな、いつものことだから……」
 先ほどからずっと引き気味なサラにミハエルは答える。
「ふう……ローゼ先パイ、その癖どうにかしてくださいよー」
「だって、ヒルデちゃんがこんなにかーぁいぃんですもの」
「誰が『かぁいぃ』んですか誰が!」
「ヒルデちゃん」
 悪びれもせず、さも当然だといわんばかりのローゼ。
「……そんなこと言うの、ローゼ先パイだけっす」
「ん? そんなことないわよ、ねぇ、ミハエル?」
(どうして俺に聞いてくる!?)
 急に話を振られたミハエルは、一瞬答えに詰まる。
「えっと……」
「うりうり、どうなんよ、そこは。お姉ちゃんに話してみなさい」
「あのですねぇ……」
 ローゼに詰め寄られながらミハエルは、後輩の何か期待した視線をその顔に浴びている。
「か、可愛いと思うぞ」
「え!?」
「ほら、やっぱりね! ミハエルもそう言うと思った!」
「せ、先パイ……」
 ヒルデは少し上目遣いで、また何か照れた様子でミハエルを見上げた。
 ――ガシ。
「へ?」
 と、突然後ろから両手を掴まれるミハエル。
 振り返ると、サラが笑顔で腕にを掴んでいる。
「あの……サラ……?」
「ちょっと尋問――ううん、少し聞きたいことがあるんだけど」
「ちょっと待って! 何でそんな笑顔なのに禍々しいオーラ纏ってるの!!」
 ミハエルの声も構わず、サラは腕を引っ張り続ける。
「ちょ、ちょっと待て、サラ! どこにそんな力が!?」
 満面の笑みでミハエルを引きずっていくサラに、ローゼはなぜかハンカチを振って見送っていた。
 ……その後、根掘り葉掘りヒルデとの関係を聞かれ続けたことは、言うまでもない。





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【遥か地平線の彼方へ】第一章(21)

第一章(21)

「こうなるとはうすうす感じてたけど……」
「そう……ですね」
「こうもあっさり……なぁ?」
「……ええ」
 ミハエルとランツは、廊下に貼られた中間考査の成績表を見てそう呟いた。
 本科一年の上位陣はいつもどおり、首席ランツ、次席ヴィンツェンツ、第三席ベルホルト。
 変わったことといえば、ミハエルが第十八席と健闘したことくらいであった。
「まさか、殿下が次席になるなんて……」
「さすがになぁ」
 これまで首席を維持していたローゼの席次は今回次席。本科二年首席生徒に輝いたのは、なんと留学生のサラであった。
「姉さんの次はフォン=ブルヒャー先輩ってあたり、いつもどおりなんだが」
 他の生徒の名前を追うが、ほとんどいつもの席次に一を足しただけである。
「おいおい……ローゼ殿下もすごいけど、ド・ベルス先輩って何者なんだ」
「文武両道の姫様すら凌駕するとは……うう! ますます羨ましいぞ、ミハエル!」
「なぜ俺に振る」
 止め役のベルホルトが近くに居ないため、カルルはミハエルにやたらと絡む。おまけにその他の男たちまで一緒になって詰め寄ってきたものだから、ミハエルはあわててその場を離れようとした。
「……おい」
 むさ苦しい輪から脱出したミハエルに、重い口調が尋ねる。
「なんだ、ヴィンツェンツ……って、どうしたその顔は?」
 声の主の重苦しい表情に、揉みくちゃにされた服を手短に調えながらミハエルは訊いた。
「留学生とお前は知己だったな」
 こう呟いたヴィンツェンツは、顎に手を当ててしばらく考えていたが、「気のせいか」と納得し、ハワードを連れ立って教室へ戻っていく。
「……なんなんだ? あいつ」
「み、ミハエル……」
「ちょ、ランツ!」
 ヴィンツェンツへの疑問も、人ごみに揉まれてボロ雑巾になりつつあるランツのSOSでミハエルの頭から消えることとなった。








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ニコニコ大百科の「Key半島」記事が秀逸な件

Key半島とは (キィハントウとは) - ニコニコ大百科

Key半島とは、萌え先進国の和歌山県を揶揄、または賞賛(?)した言葉。「紀伊」と「Key」の引っかけである。

Keyの名作「AIR」およびそのアニメ版の舞台であることから、このように命名されたと思われる。

なにより、この説明の下の図に感動w

いやぁこういうの見たら、普段ド田舎過ぎて涙目だけどすさみ町民でよかったと思えるwww
(まぁ、親戚は白浜と潮岬にいますから、『ラムネ』の舞台も回ろうと思えば回れますけど……私がラムネをプレイしたことがないのでその辺で無理かと^^;

コwwwメwwwンwwwトwwwww



普通に動画もすごいのですが……
0:46「咲音って誰?」のコメントへの突っ込みで腹筋崩壊wwwww

森鴎外の『舞姫』を美少女ゲーム風にしてみた



第2話以降はこちら↓


原作:森鴎外

シナリオ・背景・ムービー:久間知毅 
原画・彩色・演出:桜野燵希
スクリプト:南祇研司

音楽:TAM Music Factory 様, SILDRA COMPANY
効果音:音楽工房夢見月 様, On-Jin~音人~ 様, ザ・マッチメイカァズ





全話うp完了! (22:58)

※エリスの台詞は誤字じゃないです。エリスは出会った当初は母国語であるドイツ語を間違って憶えてました。(ドイツ語でミスしやすい格変化を日本語にあてはめると「てにをは」なので、こんな風になってます)

森鴎外の『舞姫』をギャルゲーにしてみようと思う

……さて、とりあえず、学生同士で作ったものですが、絵師さんの許可も得たのでプレイ動画にしてみようかと。

まぁ、画面の録画って時間かかりますので、もう少し待っていただければ^^;









にしても、シナリオライターのくせに、「豊太郎氏ね」と何度叫びそうになったことか……。

ローゼ姉さんのドイツ語講座第22回「形容詞の比較変化」


お待たせしましたっ!

というわけで、久々の更新です^^;



要望があったのでサムネ画像うp↓

続きを読む

久々の女声練習

まともに練習したのは久々な声。
……ダメになってるのか、どうなのか^^;


「ごっちゃに!微分積分」を歌ってみた



今更ながら歌ってみました。

女声練習2ヶ月目

そろそろ歌唄いたい……けど声がまだでない^^;



あ、一応低いほうも練習してますよw
いい感じにキモいですがwww


まぁ、次回の替え歌ではネタに走らせていただきます。
プロフィール

久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

ネタ・講座系マイリスト→こちら
ジャンルわけしたもの→こちら

ニコニコユーザページ:user/509254


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