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サラ中尉の数学講座「虚数って何?」(3) ガウス平面



その3です。
今回は、ガウス平面、極座標表示、オイラーの公式のガウス平面での動きをやります。
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サラ中尉の数学講座「虚数って何?」(2) 世界で一番美しい数式



その2です。
残りは明日にでも仕上げたいところ……。

ただいま数学講座「虚数って何?」を作ってます

現在、サラ中尉の数学講座の第3弾としまして、「虚数って何?」というものを作っています。
構成は、

第1回:数の拡張の歴史
第2回:虚数の誕生と世界で一番美しい数式
第3回:ガウス平面と虚数解の可視化
第4回:マイナス×マイナス=プラスの説明と虚数の実用例


といった感じで進みますが……そうです。動画は4つに分かれます。
いあ……ね、原稿がA4用紙50枚とか60枚とかいう世界になっちゃって……。とりあえず、今年中に出来るように頑張ります。


追伸:動画できるまでコメ返し滞ります。ご容赦ください。



とりあえずその1をうp。以下出来次第。

女声練習4ヶ月目



もう4ヶ月になりますか……あんまり成長してないなぁ……orz

ローゼ姉さんのドイツ語講座第24回「関係代名詞(2)」



なんとか……日没までに間に合わせました……orz

サラ中尉の数学講座「偶数と自然数の数は同じ!?」(無限集合と濃度)



今回は数学講座です。内容は集合論で。

 ・偶数と奇数ではどちらが多いのか?
 ・偶数と自然数ではどちらが多いのか?
 ・自然数と整数ではどちらが多いのか?
 ・自然数と有理数ではどちらが多いのか?
 ・自然数と実数ではどちらが多いのか?
 ・実数と複素数ではどちらが多いのか?
 ・直線上の点と平面状の点、立体の点はどれが多いのか?

……と言った内容です。
まぁ、正確にいえば「数が多い」というのは有限集合の話なので、「濃度が大きい」という話ですがw

【遥か地平線の彼方へ】第一章(29)

第一章(29)

「んんっ……と。……本当に、いい天気ね」
 サラは伸びをして、校舎横の芝生に倒れこんだ。
 ミハエルも、サラの隣に倒れこんで、深呼吸をする。
「吸い込まれそうなくらい……青い空」
「……ああ」
 サラの呟きに、ミハエルは小さく答える。
「あの時も……こんな空だった」
「…………」
「ミハエル、ずっとわたしを抱いててくれた。怖がってたけど、どこか安心できた」
 ミハエルは、自分たちがすべてを失ったあの日を思い出す。
 サラを抱きしめる手、恐怖に震える脚。
 近くで瓦礫が軋むたびに、声を上げるサラの口を押さえて、指を噛まれた記憶。
「ミハエルって、本当に、あったかいね。小さい頃とおんなじ」
「サラ……」
 ぎゅ、っと、サラがミハエルの腕をとり、抱きしめる。
「サラ!」
「……ちょっと、こうして……いさせて」
「…………」
「わたし、夢のこともあるけど……ミハエルに会うために今まで頑張ってきたんだよ」
 サラは、ミハエルの肩に顔を埋めて震えている。
「この道進んでたら、きっと、いつか、ミハエルに辿り着くって。ミハエルに追いつけるって」
「追いつくも何も……もうサラは俺なんか追い越してるよ」
「ううん……わたしはまだまだだよ。……ミハエルとか、フォン=ケストナー中将とか……隣に居て安心される人になりたいよ」
「おいおい……俺のこと過大評価してるって」
「ううん……そんなことないよ。だって、ほら……こうしてると、落ち着く」
 ミハエルは、無意識の内に、サラの頭に手を置いた。
「……ん」
 それを感じたのか、サラは口元を緩ませて微笑った。
「ミハエルの周りってね、あったかいの。ミハエルがあったかいから、周りまであったかくなる。あったかいと、居心地いいんだよ」
 肩口に揺れる頭を、そっと撫でる。
「だから、ミハエルの周りって、いい人が集まるんだ。フォン=エッカルトさん、ランツくん、ヒルデさん、ミハエルのクラスメイト……みんな、ミハエルのこと大好きなのね」
「……サラは?」
「え?」
「サラは……俺のこと……」
「…………」
 ミハエルの言葉を、サラは努めて耳に入れないように、黙りこくった。
「憶えてる? わたしを近所の子から庇ってくれたとき、ミハエルが言ってた言葉」
 それからしばらくして、サラは唐突に聞いてきた。
「俺が言ってた言葉?」
「うん。……いつも、近所の子たちを蹴散らして、わたしに言ってくれた言葉」
「うーん……」
 ミハエルはサラの額に置いた手と違う手を、自分のこめかみに当てた。
「……もしかして……憶えてない?」
「あー……なんというか……もう11年になるからなぁ」
 受験とか試験とか、たくさんあったし。
「……ふう……そう上手いこといかないわよね」
「え? 何か言った?」
「ふふっ、……なんでもありませんよーだ」
「なんだよ、いったい」
 ミハエルが問うと、サラは立ち上がって人差し指を自分の口に持ってきた。
「ミハエルが思い出すまで、言わないもん」
「おいおい」
「思い出したら、ご褒美あげる」
「……努力します」
「よろしい」
 ミハエルが答えると、サラは可笑しそうに、ずっとくすくす笑っていた。







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【遥か地平線の彼方へ】第一章(28)

第一章(28)


「あら? ミハエルが図書館に居るなんて珍しいわね」
 図書館の机で云々唸っていたミハエルを、図書館に借りた本を返しにきたサラは見つけた。
「お、サラか。……まぁ、ちょっと課題があってな」
「課題? えっと……『南カルヴァートによる統一戦争で、ファルストールの戦いからデュナサン・ムーの戦いにかけての戦訓を3つ以上見つけなさい』」
 ミハエルの隣に座ったサラが課題を覗き込む。
「うーん……それでわざわざ図書館まで調べに着たんだけど……」
「……確かに、基本問題ね」
「……そんなあっさり言うなよ」
「ランツくんに聞けばわかるんじゃない?」
「ダメだって。ランツに聞いても、『これはミハエルでもわかりますよ』だって」
「あはは……確かに、言いそう」
「うわ……さり気に酷いこと言うな」
 ひとつ年下の、一学年先輩の言い方に撃沈するミハエル。
「……それにしても……これはランツくんが好きそうな問題ね」
「どういうこと?」
「ほら、ちょっと前になるけど、ミハエルの部屋行ってお話したじゃない? あの時よ」
「ごめん。難しい話だと思って聞いてなかった」
「もう! 何してるのよミハエル~! あの時の話聞いてればこの問題一瞬で解けるわよ」
「うう……聞いてなかったことを今更言われても……」
 ミハエルはますます小さくなる。
「もぅ……仕方ないなぁ」
 サラはそんなミハエルを見かねたか、ミハエルのいる机の向かいに座って、広げている資料を指差し始めた。
「まずは……ファルストールの戦い。ここのポイントは騎兵の使い方よ」
「騎兵の使い方?」
「はじめに、槍衾作られているところに騎兵が突撃したでしょ。そのときは撃退された。でも、長弓兵が北カルヴァート軍槍兵隊へ射撃を行って陣形を乱す。ここで騎兵が突撃すれば北カルヴァート軍は敗走……ここまでは大丈夫?」
 ミハエルはこくりと頷く。
「でも、次のフロントバインの戦いでは、南カルヴァート軍が長弓兵を無防備にしたばかりに先に急襲を受けて退いてる」
 サラは丁寧に地図をなぞりながら説明を続ける。
「最後はデュナサン・ムーの戦いね。南カルヴァート軍はまず、戦闘予定地になりそうなこの三日月状の丘を、騎兵が機動力を活かして占拠。そこで騎兵は下馬して歩兵として中央前面に配備。直ちに長弓兵は三日月の内側に杭を打ってバリケードをつくり、北カルヴァート軍を待ったわけ。あとは下馬騎兵が敵軍を拘束しながら、その両面に長弓兵が矢を射かけ続ける。そうすれば北カルヴァート軍は三日月の中央に押し込まれ圧死が発生。後は敗走するだけ」
 スッスッスッ、とサラは地図上で指を走らせる。
 まるで、その指のまま兵が動いているような錯覚さえあるくらい、サラは活き活きと説明した。
「ファルストールの戦いでは、弓兵と騎兵の共闘で、強力な槍兵の守備陣形を崩すことが出来た。次のフロントバインの戦いでは、弓兵を無防備にしたばかりに敗退している。最後のデュナサン・ムーの戦いでは、弓兵と歩騎兵を共闘させた陣形は崩すのは困難だということ。つまり、いくつもの兵科を適材適所で使うと、単純な総和以上の効果が得られるってことなの」
 窺うように、サラはミハエルの顔を覗いた。
「……どこが、『簡単』なんだ……それの」
「え? これって結構単純なんだけど……」
 心底意外そうにサラは驚いた。
「要は、自分の強いところで受ける、っていう基本を忠実に行うってことだもん。自分の強いところに敵の弱いところを当てる。自分の弱いところへは牽制や妨害をやって攻撃させない。騎兵は速射兵器に弱かったり、砲兵は突撃に弱かったり、それぞれに欠点がある諸兵科でも、共闘させれば補えあえる……」

 ――『能動的防御』は、相手を自分の得意分野に追い込むことが容易いのですね。

「ああ……なんとなくわかったような気がする」
 ミハエルは、ランツが課題などでよく言う口癖を思い出す。
「でしょ?」
「そういえば、剣術でもそんな感じだったな。どうやって相手を崩すかとか、隙が多いところ狙うとか」
 ミハエルの中で、昨夜西之上少佐に稽古をつけてもらったことと、ランツの言葉、そして今のサラの指摘がすべて結びついた。
「うーん……そうね、結局実際に戦うのは人間だもんね。個人技でも、応用はいくらでも出来るんじゃない?」
 サラは目を細めてミハエルを見つめた。
「懐かしいね、こんな風に二人で話するのは」
「そう……だな」
 図書館とはいえ、今は砲兵科と工兵科の授業中で、あまり人が居ない。
 これまでサラと会話するといっても、何かにつけローゼが居たり、ランツが居たり、その他クラスメイトが居たりして、じっくり二人きりで話をすることはなかった。
「そういや、あの頃からサラは頭良かったよなぁ」
「そんなことないよ」
「ほら、父さんの農学書を一晩で憶えたり」
「うう……そんな昔のこと出されても」
「昔といえば……よくサラって近所の子にからかわれてたよな」
「もう! 思い出させないでよ~」
「……でも、そんな近所の子達も……あのあと」
「……うん」
 突然攻めてきた、異様に近くに感じる雄叫びが脳裏に浮かぶ。
「……嫌なこと思い出させたかな」
「いいよ……」
 俯いて、サラはか細い声を出す。
「ミハエル……ちょっと、外出よう。ね?」






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女声練習3ヶ月半

ご無沙汰ですね。
相変わらずKIMEEEEEEEEEEEEE




年度末にはせみこん動画流星群作りたいので、それまでには多少マシになってればいいんですが……^^;

【遥か地平線の彼方へ】第一章(27)

第一章(27)


 本日午後の最後の授業は、戦術教官のエーリヒ・フォン=ファーレンハイト少佐による座学だった。
「……と、スィナンの『神の剣』は東ロマーナ交易の拠点である――」
 ――ゴーン、ゴーン、ゴーン。
「っと、もうこんな時間か。今度は多少政治が関わるが、諸君はこの件についてレポートをまとめてくるように。提出はこの間のレポートがあったから……次の週でいい」
 フォン=ファーレンハイト教官が教室を出て行き、再び騒々しくなる教室。
 同時に、顔が真っ青になっている本物語の主人公がいたことは、誰も気付いていなかった。

(しまった、しまった、しまった!)
 教官の「課題」の言葉に、ミハエルは頭を抱えた。
(手なんかつけてるわけねーよ)
 とりあえず紙とペンを抱えて図書館へ向かうため練兵場を横切るミハエル。
「あ、先パ~イ!」
 そんなミハエルの耳に、この青空のように晴れ上がった声が入る。
「ヒルデか」
「何すか、そのやる気のない返事は……」
「いや、課題が残ってるのに、こんないい天気なもんだからな」
「要するに、サボりたいんですね」
「要約しすぎだ」
「で、そんなことを後輩に聞くあたり、切羽詰ってるんすね」
「まぁ、そうなんだが」
「フォン=ケストナー先パイに聞いてみるのは?」
「いや、ランツは自力で解けと言ってくる」
 手直しは手伝いますから形だけでも作っていただかないとご自身のためになりません、というランツの口調を真似て、ミハエルはうな垂れた。
「ははは……確かに、お堅い人っすね」
「多少融通利かせてくれてもいいのになぁ」
「先パイ、それは融通とは違うような……」
「イインダヨー」
「グリューンダヨー」
 お互いに黙り込む先輩後輩。
「ぶっ」
 どちらからともなく噴き出すと、手を振ってまで笑い出した。
「ちょ、今、打ち合わせなしだったぞ」
「っははは……そうっすね!」
「なかなか息もあってたしな」
「何なら、お笑いコンビで売り出しますかね」
『お巡りさん、実は犬がいなくなったのですが……』
『では、張り紙などしたらいかがでしょうか?』
『そう思ったんですが、生憎、家の犬は字が読めないんですよ』
 少し首をひねる二人。
『人間、やっぱり聞きたくない言葉ってありますよね』
『某業界では「体力の限界」だそうで』
『女性は「若いうちが花」だったそうで』
『でもやっぱり一番聞きたくないのが』
『「繰り返す、これは訓練ではない」っすね』
 思ったより滑ってしまい、溜息をつく二人。
「なんだか、俺、すごく後悔したんだが」
「自分もっす……」
「素直に生きていくか、お互いに」
「そうっすね……」
 ――ガシ。
 二人はお互いの肩を叩き合った。
「何、青臭い友情ドラマのワンシーンやってんだ、お前ら」
「わっ!」
「いきなり驚かすなよ、カルル」
 と、クラスのお調子者の方向を向いたミハエルは愕然とした。
「ん? どうした?」
「そ、その資料類は……もしかして……」
「課題用に決まってんじゃん。俺が最終日以前に終わらせると思ってたのか?」
「いいよな、お前は、こういうことに関しちゃ真面目だから。どうせ課題終わってんだろ?」
 ふてくされるカルルに、ミハエルは小さく呟いた。
「……ない」
「え?」
「終わってない……」
「…………」
「…………」
 カルルの目が喜びに満ち溢れる。
「やった! 仲間! 仲間ができたぞ!! 主よ、ありがとうございます!!」
「やめろ! 全身全霊を持って感謝するのをやめろ!」
「ふう……これで無理に課題終わらなさなくても~、怒られるのは俺だけじゃあないな~」
「俺は課題終わらない前提か!」
「前提じゃない」
 何かことを成し遂げたように、カルルはミハエルの肩を持った。
「 終 わ ら す な (はぁと」
「死ね、氏ねじゃなくて死ね」
 胸倉を掴みかかるミハエルの手を華麗にかわし、カルルは舌をちろっと出していたずらっぽく笑いながら練兵場を駆け抜けて行った。
 唖然とするミハエルだったが、そんなことをやっている余裕がないのはわかっているので、頭を切り替えて図書館へ向かう。
「というわけでヒルデ、すまんが課題やってくる」
「わかったっす。先パイ、ガンバっすよ!」
 後輩に見送られ、ミハエルは静かな戦場へ足を伸ばした。






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ローゼ姉さんのドイツ語講座第23回「関係代名詞(1)」



久々のうpです。
今回は、関係代名詞となりまして……まぁ、ややこしいところなので、説明難しかったですorz

……英語よりはマシとは思いますが^^;

続きを読む

マイユアの続編!?

はい、私の地元が舞台というゲーム、『Myself;Yourself』ですが、続編出るようです。

Myself ; Yourself それぞれのfinale

エンディング後とサイドストーリーになるようなので……ファンディスクみたいなものでしょうか。
発売は……2009年春……?



…………。
………。
……・
……すでに大学生ですね、そのころは^^;
県外に出る予定なので、どう考えても発売後当面はプレイできそうにないですね……また夏休みになりそうですorz

【遥か地平線の彼方へ】第一章(26)

第一章(26)

「だぁ!」
 ミハエルは剣先に体重を乗せ、曲げた左膝を一気に伸ばした。
 キン!
「おっと……」
 眼帯の戦士は、若者の剣をさばいて自身の剣先を振り上げた。
「くっ……」
 しかしミハエルの剣はその力に抗い、相手の胸元へ吸い込まれる。
 同時に、ミハエルの頭上へ一筋の光が落ちかかる。
「…………」
「…………」
 あたりに、静寂が訪れる。
 にわかに強くなった風の音だけが、その場にいる人の耳を撫でた。
「おおーっ!」
 と、ある線が切れた瞬間。一斉に拍手が鳴り響いた。
「す、すげぇ……」
「さすが、は、ミハエル」
 ミハエルと剣術教官のフリッツ・エンツェンベルガー大尉は、それぞれの急所にあてがわれていたサーベルを下ろすと、剣礼した。
「よくやったな、ミハエル」
「ありがとうございました」
 ゴツゴツした手がミハエルの頭を撫でる。
「それにしても、随分な成長ぶりだな……いくつか俺も教えてない動きあったが……まぁいい」
 教官は眼を閉じる。
「俺の現役時代に、手合わせ願いたかったもんだ」
 眼帯をさすりながら、教官は呟いた。
「ほら、お前らも見物してないで自分の練習せんか」
「は、はい……」
「ですが、教官」
「ん、なんだ、ミハエル?」
「もう時間です」
「え? ああ、確かにそうだな」
 腰から懐中時計を取り出して、時間を確認した教官はみんなを呼ぶ。
「じゃあこれで午前の授業はここまでだ。みんな午後も頑張れよ」
「はっ!」

「ミハエル、お疲れっ!」
「先、行く」
「じゃあな」
「ああ」
 アウグスト、ベルホルト、カルルの三人組に手を振ると、ミハエルはストレッチを再開した。
「午後の乗馬訓練、遅れるなよ」
「わかってるって」
 いつものヴィンツェンツの忠告を聞き流して、ミハエルは右手を左脚につける。
「ふう」
「お疲れ様です」
「お、ランツ」
 ランツは手にタオルを持って、ミハエルに渡す。
「すまない」
 ミハエルはランツからタオルを受け取ると、顔を拭う。
「さて、飯だ。腹減ったしな」
「そうですね。今日は陽気もいいですし、練兵場ででも……」
 一息ついた。そういうひと時は、大抵すぐに破られる。
「全国の姉属性のみなさんがご垂涎になりそうなアターーーック!」
 ――むに。
「みぎゃ……はもひ、はもひむへあ(顔に、顔に胸が……)」
「ローゼさん! ローゼさん!!」
「うに?」
「あの、今度はミハエルが……」
「おにゃのこの胸で窒息するのは男の本望……ぼそり」
「あの、擬態語が口に出ていますが……」
 ランツが的確に指摘する。
「ぶはっ……いきなり何するんですか、姉さん!!!」
 ミハエルが息を吹き返す。
「まぁ、お約束だよ、チミ」
 付き合わされる身にもなってくれ、と言いたげなミハエルと、苦笑する二人。
「まぁ、ちょいとミハエルに付き合ってもらいたくてねぇ」
「面倒ごとじゃないでしょうね?」
「うわ、酷いにゃ~。せっかくサラちゃんがミハエルのためにお弁当を作ってきたのににゃ~」
「なんだって!?」
 ミハエルは思わずサラを見た。
「えへへ……」
 その手元にはまぎれもなく、ローゼが幼い頃に大和展で買ってもらった漆塗りの重箱が。
「いろいろと、ローゼさんに教えてもらって作ったんだけど……」
 赤くなって、おずおずと切り出すサラ。
「ど、どう……?」
「誠心誠意、いただかせていただきます」
「よかったぁ……断られたらどうしようかと……」
「俺がそんな風に見えるか?」
「ううん」
「だろ?」
「はいはい。見せ付けない見せ付けない」
 パンパン、と手を叩いて呆れるローゼ。
「そんなに見せ付けるんなら、いっそのこと、こう、口を開いて『あーん』とかをだね……」
「恥ずかしいこと言わないでください!」
「うぐ……お姉ちゃん、ちょっと傷ついたにゃ……」
「まったく」
 わざといじけてみせるローゼをジト目で睨むミハエル。
「でも」
 そんなミハエルの後ろで、サラが呟く。
「ん?」
「ミハエルがいいなら……」
「サラ……」
 お互いに赤くなる、隣から見ればどう見てもカップルな二人。
「ま、まぁ、そういうのはまた今度で」
「え?」
「まだまだ、これからも作ってきてくれるんだろ?」
 目を丸くするサラ。
 少しの間をおいて、一気に顔が晴れる。
「うん! もちろん!」
「そうして愛しのサラちゃんのタマゴサンドを口に入れたミハエルは奇声発するまでに感動をあらわにするのだった。完」
「ちょ」
 いつの間にか復活したローゼが、口に手を当てながらニヤニヤしている。
「姉さん!」
「うにゅ……」
「ちょっと、黙っててくれません?」
「ひどいにゃ……」
 とはいえ、さすがにこれ以上野暮なことはしないローゼ。
「じゃあ、さっそくいただきまーす」
 ミハエルはサンドウィッチを手づかみして口に放り込んだ。
 …………。
 ………。
 ……。
「……サラ」
「ん?」
「これ、タマゴサンドだよな……?」
「え?」
「あと。……やたらと……甘いんだけど……」
 サラは思わず手にとって、自分で作ったものを口にする。
「……うぅ」
「ど、どんまい」
 二人の様子に、ローゼは重箱に手を伸ばす。
「どれどれ……はむ」
 途端に表情が険しくなる。
「ま、サラちゃん。大丈夫だって、あたしが教えるから」
「……お願いします」
 泣きそうになりながら、サラは下を向いている。
「でも、じゃあ、これどうしよう……」
 サラは自分で作った弁当一式を指差した。
「ああ……えー……どうしましょう……」
 ランツも困り顔である。
「まぁ、せっかくサラが作ってくれたんだ。無駄にしないさ」
 ミハエルはサラの手から重箱を取る。
「食べれないわけじゃない」
「ミハエル……」
「次は、美味しいの期待してるさ」
「うん! 絶対今度は上手くいかせるから!」
「楽しみにしてるさ」
 一瞬、ローゼの表情に変化があったことを、その場の誰も気付くことはなかった。
「うん! ローゼさん! 思い立ったが吉日です!」
「え、あ、わ、わかったわ」
 いきなりのサラにローゼが引きずられる格好で、校舎に消えていく影が二つ。
「まぁ、達者でな」
「わたし、頑張る!」
 そう、サラの柄にもなく叫んでるのを聞いたような気がする。







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久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

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