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閉じる手と扉(リハビリ作品)

小説からここ2年ほど遠ざかっていたので、リハビリも兼ねて1作。
『閉じる手と扉』
作・久間知毅

「西本に告られたぁ!?」
「あ、明美、声! ……大きいよ」
 いきなりの声に驚いたのはわたしの方だよ、と押上結衣は椅子に座りなおす。
 その視線の先には、後ろにした椅子から不自然に立ち上がったクラスメイト、下瀬明美の姿があった。
「晴天のなんとやらだわ……」
「今の明美の声の方が雷だよ」
 的確な結衣の突っ込みもかき分け、明美は天を仰ぐ。
「放課後の教室に呼び出されたと思ったら、まさかこんなことになるとはっ」
「そんなこと言われても……こんなこと、明美くらいしか相談できないし」
 ドカと座り溜息をつく明美に、結衣は申し訳なさそうに言う。
「……はぁ。……で、よりにもよって昼休みの体育館裏での告白? いったいどこの昭和よ」
「そうなんだけど……どうしよ」
「どうしよ、ってねぇ……結衣はどうなのよ」
「どう?」
「西本のことよ」
 結衣は視線を手元に移す。
「クラス委員で成績優秀、いい家のおぼっちゃまで、こんな古風なラブレターを渡してくるお相手と」
 大仰に手を振る明美に、結衣はムッとする。
「そんな言い方……」
「……ふむ。嫌ってはないと」
「うぐ」
 誘導尋問に引っかかったと気付いた結衣は、机に突っ伏した。
「ま、これまで委員会とか特進の補習でも何回も一緒だったんでしょ」
「……うん」
「ううん……なるほど。濃密に結衣と一緒にいたなら、そこらの男じゃすぐ落ちるわね」
「もう……からかうのもいい加減にしてよ、明美」
 机から顔を離して、細い目で結衣は見つめた。
「ともあれ」
 結衣の発言を聞いているのかいないのか、明美は人差し指を立ててずいと顔を近づける。
「ほえほえカップルと呼ばせてもらうわね」
「……気が早いよ」
 何もいう気にならなくなった結衣は、うな垂れて席を立つ。それにつられて明美も鞄を肩に掛ける。
「ちょ、待ってよ、結衣ぃ!」
 先行して教室の扉を出る結衣の手を、明美が握る。
「まぁ、今日もか弱い結衣ちゃんを、わたしが責任持って送り届けてあげようと」
「あのねぇ」
「まぁ、よかったじゃん。……気になってる仕草、わたしはちゃーんと見てたんだからね」
 ここぞとばかりに胸を張る明美。
「返事は明日?」
「……うん」
「よしよし、じゃあ明日は不肖下瀬明美が、おふた方の門出を祝して乾杯の音頭を……」
「やらなくていいから」
 握っていない方の手をしきりに上げる明美に、結衣は苦笑する。
 そんなことを言いながら、二人は校門を出て、駅へ向かう。あれこれ、「付き合ったらデートはここで」などと明美が主導権を握ってプラン立てているのだが。
 駅のホームで隣り合う彼女たちの前で、電車の扉が開く。
「ひとつ電車遅らせただけはあるわね」
 いつもより空いている車内に入るなり、明美は声を掛ける。
 そうねと答える結衣の手を握る明美の力が、いつもより若干強かったことを、結衣は気付くことはなかった。


ゲームシナリオばかり書いていたせいか、会話文がやたらと多くなる傾向にありますね……
精進精進。
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プロフィール

久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

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