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DHMOの恐怖と美少女ゲーム・人権擁護法案問題の共通点

皆さんはDHMOという物質をご存知でしょうか?
DHMOとは、環境破壊を引き起こす酸性雨に含まれる成分で、地形や多くの建造物の侵食・腐食を進行させ、金属を錆びさせることさえある青緑色の液状の物質です。
DHMOは、毎年無数の人々を死に至らしめています。報告される死亡例の多くは、液状のDHMOを偶発的に吸い込んだものとされています。
また、DHMOの吸収が発汗、多尿、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、電解質異常などを引き起こすことも臨床的に確認されており、末期がん患者のがん細胞から、大量のDHMOが検出されることは公然の事実となっています。
しかしながら、DHMOは多くの工場において日常的に使用され、産業の発展と共にその使用量も増大しています。特に電子産業においては純度の高いDHMOを大量に使用し、これらの工場からは分解されないそのままのDHMOが日々大量に自然界に排出され続けています。このような垂れ流しにより、近年母乳からも大量のDHMOが検出されるという事態に陥り、また成人しないで死亡した子供の体内からもDHMOの反応が極めて強くあったというのも、記憶に新しいことです。
このように危険極まりない物質であるDHMOですが、なぜか日本ではこの物質の使用を制限するような立法がなされたことはありません。なぜならば、産業においてDHMOというのは非常に便利な側面を持ち、産業界が国民の健康を省みずに政府に圧力を掛けているからです。
そのため、もしかするとこの記事も、政府の圧力により潰される危険性があります。是非とも皆さんにはDHMOの危険性をもっと多くの方に伝えていただきたいと思います。
このような危険な物質を、早急に規制しない限り、人類の危機です!







……と、かなり有名なネタであるDHMO(=Dihydrogen Monoxide:要するに、H2Oである水)でした。
このように、きわめて限定的な状況(「大量なんてレベルではないほど飲み込む」や「何百年スパンで海岸を浸食する」)や水が原因でないもの(「溺れる」や「子供の死亡原因」)、相関関係と因果関係の無理な結びつけなどを駆使すると、水という物質がさも危険であるかのような錯覚を覚えさせることができたりするわけです。
ですが、これらは冷静に考えると「んなアホな」で済みますよね?
なぜ私がDHMOというネタを今回記事にしたかというのは、最近起こった2つの事例がこの「DHMOの危険」というものに似ていると感じたためです。

まず、一つ目が『「美少女ゲーム(エロゲ)・アニメを楽しむ人は、人間性失ってる。少女殺害等に繋がるので販売規制を」…民主党議員が請願』というもの。

これは、5月14日に民主党の円より子参議院議員から提出された嘆願によるものですが、この内容がなんともお粗末なのです。

街中に氾濫(はんらん)している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、小学生の少女を
イメージしているものが多く、このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らず
のうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件
が起きている。これらにより、幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出して
いることは明らかで、表現の自由以前の問題である。社会倫理を持ち合わせていない
企業利潤追求のみのために、幼い少女を危険に晒している商品を規制するため、罰則を
伴った法律の制定を急ぐ必要がある。

ついては、美少女アダルトアニメ雑誌及び、美少女アダルトアニメシミュレーションゲーム
製造及び販売規制の罰則を伴った法律を制定されたい。
http://digimaga.net/200805/adult-game-user-is-not-human.html




まずは、アダルトゲームをすることと、心が壊され人間性を失うこととの因果関係が一切示されていない点が挙げられます。
つまり、これは単なる推測でしかありません(しかも、きわめて信憑性に欠けるというオマケ付)。
そして、ただの推測を元に三段論法を展開しているわけです。
さらに、「少女が殺害される事件」と美少女ゲームの因果関係を「推測による推測」によって結びつけ、「幼い少女を危険にさらす社会は表現の自由以前の問題である」と結論付けています。ですが、前提が不確かな以上、それを根拠にしたところで、結論が導かれるなんておめでたい思考は、政治家以前にいい大人がやることではありません。
因果関係がない、または証明できないものに対して罪を擦り付ける行為は、まさしくDHMOの危険性を説く行為と同じであり、中世の魔女狩りと同じ論理構造といえるでしょう。
結果的に、民主党の円より子議員は己の票田確保のために、美少女ゲームをスケープゴートにしたということになるといわれても、仕方ありません。または、己の「オタクへの差別心」を満足させるために、反対のための反対を行ったと勘ぐられるでしょう。
ある問題があれば、その問題と因果関係があるのは何か、きちんと考えるべきでしょう。その問題と関係ないものを責めたところで、それはただの魔女狩りです。

2つ目は、人権擁護法案についてです。
このことは何度も記事にしていますので、詳細は当該記事を参照としますが、今回記事にするのは「声の大きな人権擁護法案反対論とDHMOの危険性が同程度である」ということです。

声の大きな反対論の中でよく目に付くのが、「人権委員会が暴走すると言論の自由がなくなる」というものです。同じ論理で「漫画・アニメがなくなる」というものもあります。
ですが、現実問題として人権委員会が暴走するとすれば、それは国民が暴走したときなので、人権擁護法案以前の問題であり、この法案との因果関係を見つけることはできないわけです。つまり、きわめて限定的な状況でしかその論が成り立たないにもかかわらず一般化しているわけですね。
このほかにも、人権擁護法案以外の問題(民主主義抱える「国民への不断の努力の強制」や、擁護法の有無に関わらず発生する悪質なクレーマーの例)を挙げて批判する人もいますが、それらの解決法が人権擁護法案廃案に全く含まれない以上、それはDHMOの恐怖と同じであり、魔女狩り的であるといわざるを得ないでしょう。

最後に、DHMOについて書かれたサイトさん(http://www.komazawa-u.ac.jp/~kazov/Nis/etc/DHMO.html)より引用することで、この記事を終わらせていただきます。

科学の目を失えば行き着く先は偏狭なカルトである。「人は正義を行っていると確信しているときに、最も邪悪な行動を平然と行うことができる」との警句を常に忘れてはならない。
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6件のコメント

[C442] No title

DHMOの話は聞いたことがありましたが、これとエロゲー批判の話題を結びつけるとは面白いですね。

事件をなんでもゲームのせいにしたがるのは世間の悪い癖だとよく言いますが、それはまさに典型例だと思います。

[C443] No title

いつも、なんて頭の柔軟な方なのだろうと感心させられます。それでもって博学だし。素敵だあー
もう少し私が若かったらぜひお兄ちゃんになって欲しいくらいです。
あ、ドイツ語講座お世話になってます。楽しく覚えられます。はやく言葉を覚えてお金貯めてドイツに行きたいです。
これから暑くなりますがお体に気をつけて。

  • 2008-05-25
  • ゆふぃ
  • URL
  • 編集

[C444]

確かにこの話には直接の因果関係を感じづらいものがあります。
経済がどうの、などという理論をするつもりはありませんが、
もう少し議員の方々もまともな立法をしてほしいものです。
否定する方が楽だということを先日某所で体験しましたが、
本当に、否定するにせよ規制するにせよ、まともな理由を求めます。
  • 2008-05-25
  • 百合田大手駅東口
  • URL
  • 編集

[C445] No title

>やまぶんさん

何か問題があると、その問題と関係ないことで別のものを批判する……その批判対象は、たいていの場合「相手から文句を言ってこない」ということで、つまりは体のいいサンドバックなのでしょう。
科学を志すものとして、絶対に許容できない価値観です、いやはや。


>ゆふぃさん

お褒めに預かり光栄です。
ドイツ語講座の方も、折り返し地点に到達しまして、夏休み中くらいには完結できればいいなと考えています。


>百合田大手駅東口さん

「いちゃもん」程度の文句なら、大抵のものにつけることができるんですよね……
で、それが大きな顔をして、いまやしたり顔で「ゲームは良くない」とか「人権擁護法案は悪法だ」とかいう人が出てきてるわけです。……本当に、胃が痛くなるというか、頭が痛くなるというか。

[C446] No title

まずDHMOの話を知らず、うっかり危険な物質だと信じ込んでしまったキグロです。

美少女ゲームと殺人事件を結びつけて考えたり、人権擁護法案に対して頭ごなしに批判・否定するのも問題だと思いますが、
それと同時に、私のように簡単に信じてしまう人がいるのも問題かもしれません。自分で言うのもなんですが。
「人権擁護法案」については久間さんのブログ及び動画で初めて知ったので中立的な考えを持つようになりましたが、もし先に「否定動画」を見ていたら批判的な立場に立っていたと思います。
ヒヨコのすり込みみたいなものかもしれません。

ただ、弁解するわけではありませんが、何故ホイホイ信じてしまうかと言うと、興味がないからなんですね。
興味がないから深く考えようとせず、結果、少しおかしい論法があったとしても気付かない。
人権擁護法案だって、お祭り感覚で騒いでいるんであって、ブームが過ぎれば…。

そして何より、そんな事に構ってないで2日後に差し迫った恐怖(レポート提出)に全力を注がなければならないのです。
  • 2008-05-27
  • 黄黒真直
  • URL
  • 編集

[C447] No title

>黄黒真直さん
まぁ、その「刷り込み」があるので、情報を発信する側はしっかりと務めを果たさねばならないのでしょう。
プロに一般人よりも高い倫理観を要求するのは、このためですし。
……だから、プロが変なことやったら、必要以上に叩かれねばならず、また一般人はプロの言うことをきちんと参考にする、というわけですね。
どうも、これらが崩れてきているような気がしてならないです^^;

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プロフィール

久間知毅

Author:久間知毅
ニコニコ動画で数学・物理・世界史替え歌、語学(独・仏・露)講座などをうpしている者です。
今年から大学生になりました(情報工学科)。

アニメ・ゲーム『Myself;Yourself』の舞台となった町在住だった(過去形)。

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