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【遥か地平線の彼方へ】第一章(9)

第一章(9)

「それにしても、大分買い込んだな」
「そうっすか? 自分としては普通だと……」
 二人の傍を高級そうな馬車がゆっくりと通り過ぎていく。
「……まぁ、女の子は荷物が多いと聞くし」
 但し姉さんを除く、と心の中で付け加えるミハエル。
「あれ……? なんすかね、あの人だかり」
 歩きながら、ヒルデが指差す。何かの大道芸かと少し期待しながら、二人はその黒山へと見物に出る。
「……からして、国土の統一は危急行わなければならないのだ! ロルカ的なものはいたるところに存在する。ロルカ的特性とは、ひとつの理想である!」
「なんだ。政治演説か」
 期待はずれだったのでミハエルは拍子抜けした。
「力強い世界性において、如何なる民族も我々に匹敵することは出来ない。我が民族は、ひとつの偉大な独自性を持つのだ」
 主催者と思しき人物がこぶしを振り上げ、その場の興奮はさらに高まる。
「我が世界に冠たるロルカ民族は、その世界的役割を果たし、このロルカから他国の干渉を排除し、純然たる大ロルカ国家を打ち立てなければならない!」
「……ん? ヒルデ」
 周りが拍手を送る中、隣の少女の顔に翳りを見て取ったミハエルは、小さく声を掛けた。
「…………」
「ヒル……」
 ――ブリュンヒルト・ファン=ベートホーフェン。彼女の名前から思い当たる節のあるミハエルは、そっとヒルデの手を取ってその場を離れた。
「大丈夫か、ヒルデ?」
「あ、心配お掛けしました……?」
「当たり前だ。結構顔色悪かったし」
「あ、ははは、やっぱりちょっと疲れてたかなー」
 引きつった笑いを浮かべるヒルデを、ミハエルは見なかったことにした。
「ごきげんよう、ミハエル」
「わっ」
 ミハエルは飛び上がる。ヒルデは見ると、彼の後ろに三人の人影が写っていた。
「……人を悪魔か何かのような反応ですわね」
「あ、いえいえ、そんなことはないですよ! お久しぶりです!」
「久しいな、ミハエル君」
「ベレゾフスキ閣下、レルヒ給仕長も! どうしたんですか、こんなところで」
 あわてて姿勢を正したミハエルだったが、その顔は心持ち嬉しそうだ。
「丁度馬車でシュレーディンガーさんが見えたもので」
「人だかりも見えちょる。気になったわけさな。……ん? こっちのべっぴんさんは?」
 大柄の軍人がヒルデに気付く。
「あ、……自分は……」
「彼女はブリュンヒルト・ファン=ベートホーフェン予科生。俺の後輩です」
 ヒルデを一歩前に出させたミハエルは紹介する。
「ヒルデ、紹介する。こちらがシュタールブルク陸軍のベレゾフスキ将軍閣下。そちらはシュタールブルク王室給仕長のエリカ・レルヒさん」
 それぞれ敬礼と礼を行い、ミハエルは腕をさして紹介する。
「そして、こちらの方が、シュタールブルク王女ヘレーネ・シャルロッテ殿下」
 ――なんですと?
 ヒルデは一瞬思考が止まった。
「ちょ、え!? ええええええええええええええええええええ!!!?」
 なんですかこの子は、と訝る王女ヘレーネも気に留めず、ヒルデは絶叫してしまった。





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久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

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