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【遥か地平線の彼方へ】第一章(13)

第一章(13)

「どういうことか説明してもらおうか!」
 ……悪夢のような一時限目が終わると、彼の席の周りは妙な気を発する野郎共の巣窟となっていた。
「お前という奴はっ! ただでさえ、」
「かの、」
「欧州三大美女の誉れ高い、」
「コーツブルク家の気品漂う、」
「あの、」
「ローゼ姫様に実の弟のように可愛がられている現状だのに、」
「「「それでも満足できないのか!」」」
「息を吹きかけるな、狂った声を出すな、というか放っておいてくれ……」
「予科のヒルデちゃんもお前に懐いてるし!」
「周りの女の子全員お前がらみじゃねぇか」
「恋愛格差社会反対!!」
 周りがものすごく混沌としてくるので、ミハエル自身気が狂いそうになる。
「というか、姉さんを『女性』に入れていいものか疑問が……」
「さり気に、酷い、言い草」
「贅沢な奴め」
「ああっ! 俺も姫様の胸に掻き抱かれたいっ!」
「結構つらいもんだぞ? あれだけ大きいと圧力が……って、どうした、カルル?」
 とうとう俯いてブルブルと震えだすただ事ではない様子に、ミハエルは一歩引く。
「うらやましいぞ、ゴルルルルァァァァァ!」
「またかよ!」
「これで黙るなんでできるかい! クソったれーっ! 世の中なんでもイケメンが勝ちなんかーっ!!」
「俺のどこがそうなんだよ」
「自覚ないんかいな。ワイかてな、好き好んでこんな平凡な顔に生まれてきたんとちゃうわ……」
「……あの……どなたですか?」
 カルルの口調の変化に、ミハエルは混乱する。
「あ、ミハエル。カルル、たまに、地の言葉、出る」
 カルルと仲の良いベルホルトがさり気なく解説する。
「ああ、そうか。カルルは南部の出身だったな」
「ととと……地が出てたか」
「……お熱は冷めたわけか?」
「お熱ゆーな」
「ミハエルと知り合いだろうが、久しく会ってないんだろう。詳しくは話し合わないことにはわからないじゃないか」
「よく言った! ヴィンツェンツ!」
 思わぬ助舟に、ミハエルは賞賛の声を惜しまない。
「……ということは、だ」
 しかし、カルルにとってもそれは同じだった。
「つまりはぁ、俺たちはぁ、あの留学生のかーわいい女の子の情報をぉ、知る権利があるわけだなぁ?」
「語尾を延ばすな、気色悪い! というか『つまりは』の意味がわからない!」
 ぬめー、という擬態語が似合うカルルを、ミハエルは手を振って拒絶する。
「ともかくだ、ミハエル!」
「「「これ、聞いて来い!」」」
 なにやら紙に大量の文章が書かれたものを渡され困惑するミハエル。
 いや、この表情は困惑ではなく迷惑だったが。
「知るか! 自分で聞け!」
 その後、教室で暴れまわる十数名がフォン=ファーレンハイト教官に絞られることになるのは、ある種当然の話だった。




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久間知毅

Author:久間知毅
和歌山の南の方出身/学生時代:電気工学→理論計算機科学/歴史小説書きorシナリオ書き,たまにイラスト担当/ニコニコ動画では語学(ドイツ語等)講座,数学講座やドイツ統一史を連載中/TRPG(クトゥルフ,ARA2E),艦これ

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